コラム

2011-12-24

軒の出の話

雨の多い日本の風土の中で、雨などから建物を守る為の重要な役割を担う軒。では軒の「出」について、重要な意味があるのをご存知でしょうか。

【昔の家は広く深い軒を持ち、風をくみとる。】

深い軒の出は、日差しを遮り、影をつくってくれます。有名な「住まいは夏を旨とすべし」とは 鎌倉時代、吉田兼好が「徒然草」の中で記した文言です。



「人の住まいは夏に重心を置いて考えなさい」と解釈されていますが、住まいを考えていく上で「夏を旨とすべし」は、どういった考え方なのでしょうか。

夏の暑さ対策を考えた場合、

・軒の出を深く(最低でも90cm〜)して真上から照りつける日の光を遮る
・吹き抜ける風が通るように開口部を大きくとる
・昼間も夜も雨の日でも窓を全開で住めるようにする

上記条件をクリアできれば、おそらく現代でも冷房の必要性は激減するでしょう。つまり軒をしっかりと確保し、いつでも窓を開け放てることで、快適性は格段に変わるのです。

「住まいは夏を・・・」と説いた吉田兼好も、夏の軒下や縁側の心地よさをよく、知っていたのでしょう。

そして冬。高度が低くなった太陽が、今度は軒の下から直接建物の外壁や縁側を暖めてくれるのです。深い軒の出をつくった昔の人は、それら全て解っていたのです。

では最近の建物に、先人の知恵は生かされているでしょうか。

軒の出はあってもせいぜい40~60cmくらい。これでは日射はもちろん、雨がふって室内がぬれてしまい、窓を開け放して外出なんてとてもとても。

でも大丈夫。

はやりの高気密・高断熱の建物は効果(気密性・断熱性)が高いので、内部の空調された空気が「隙間風」等の外的要因に左右されにくく・・・

24時間換気による最小の換気量で室内空気汚染を回避。

冷暖房の運転を省エネルギー性に対し、目標どおりにコントロールできる。

という技術的にも、吉田兼好も想像もつかないような「高性能」域に達しています。

・・・家は高性能な、「入れ物」「箱」。なんだか人間が、温度管理された水槽にいる熱帯魚みたいに見えます。人間にとっての快適環境はおそらく、カビやダニなどの微生物にとっても快適。

だから、現代人にアレルギーが増えているのかもしれません。

【こう考えてはどうでしょう】

デザインや空調機云々よりも、優先すべきは自然を排除するのではなく、快適性を取り込む工夫。

地域にある卓越風(常時吹いている風)が、大きな軒の出にくみ取られ、開け放した窓から、いつもそよ風のように建物内を吹き抜けている・・・。

どんな猛暑でも、ちょっとした木陰に入ってほっとできるような感じ。

本来の日本家屋にみられる「快適を自然から取り込める工夫」が、軒の出には込められているのです。そんな家は、住む人にも地球規模的な環境にもやさしく、きっと本当の安らぎを与えてくれます。

その代償がわずかな軒の出だと考えれば、多少のコストアップは納得のいく範囲ではないでしょうか。


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