コラム

2015-04-09

「お墓とは何か」全優石会長と二人の著名人との対談より

桜の季節、そして花冷えの季節です。
周りでは風邪も流行ってきてますが、春の陽気に油断してはいけないのがこの時期ですね。
こんにちは。富山の墓石専門店㈱スナダ石材 墓石アドバイザーの砂田嘉寿子です。

さて、週刊新潮では全優石の吉田会長と著名人の方が「お墓にまつわる話」をテーマに対談をされるコーナーがありますが、ご覧になったことはありますか?

週刊新潮 全優石対談

去る3月19日号では、エジプト考古学者の吉村作治さん、4月2日号は社会学者の森謙二さんが対談相手となって、興味深いお話をされていました。

「お墓とは何か」を見直すべき時がきている

今年は戦後70年という節目の年でもあり、高度成長期を迎えながら、私達が置き去りにしてきた価値をもう一度しっかりと見つめ直す時期がきているように思います。

その一つに、「死者とお墓」があります。
お墓には遺骨の預け場所という側面と、慰霊の場という側面の両輪があるのですが、その両輪が外れて片輪だけで走っているのが、現代私達が直面している「死者とお墓」の問題ではないでしょうか。

死者の文化が色濃い日本の墓事情

日本は本来、「死者の文化」が根強い国です。
それは、伝統芸能である「能」をみても明らかで、能での舞というのは、言うなれば「死者の踊り」です。

また、「社」という存在。
これは神々を祀る場でありますが、その神々の中には実在した人間もいます。
それらが祀られた社は、儀式と祭礼を通し、その慰霊を行う場として、日本人がずっと大事に大事に保存し繋げてきているものです。

文化に根付いているはずの「死者」の存在が、なぜ近代になってこれほど急激に失われてしまったのでしょうか。

社会問題と密接に関わる「墓地問題」

近代を迎え、「環境問題」というこれまでにない問題が私達の社会に現れました。
環境問題に注目が集まることで、墓地のための霊園開発に歯止めがかかり、そういったことから新しい墓地が都会を中心に生まれます。
納骨堂や合葬式、樹林墓地などです。

現在の社会が抱える問題でもある、少子高齢化と地方の人口減少が、そのまま墓の継承者の不在、そして無縁墓へと繋がったことで、この新しい墓地形態が注目を浴びます。

ですが、無縁墓や無縁墓地という問題に関しては、今降って湧いたものでなく、大正末期から昭和初期にかけても東京都では大きく取り上げられ、無縁墳墓の改葬手続きが法的に整えられた経緯があります。
そのきっかけとなったのが関東大震災で、この被害をきっかけに墓地の移転計画は本格的に勧められ、東京都に引き続き、大阪・神戸・名古屋等の都市部においても、都市計画とともに無縁墳墓の改葬手続きの整備がなされたことと考えられます。

墓地の無縁墓問題を生みだしている要因には、継承者がいないことだけでなく、墓地管理者(経営者)側の問題もあります。
「無縁墳墓の改葬」として、墓地埋葬法施工規則の改正が簡素化されたのは平成10年ですが、墓地埋葬法が制定された昭和23年の時点で、「墓地経営者の義務とは何か」ということがしっかり明示されないまま、その管理者と使用者との私法上の関係におもねる形で(「永代」という文句を残しておきながら)、改葬手続きの簡素化という流れを今日迎えていることに、この無縁墳墓の大きな問題があると思います。(『無縁墳墓についての研究』参照)

また、墓埋法は土葬が主流だった頃に制定されたものなので、お墓に関しての法律は時代に合わない面と、時代に合わせすぎて簡素化し改正されてしまった面が共存するため、本来の「死者が自然に還るまでの権利」だけがなおざりにされてきてしまい、それなら「お墓を建てる意味がない」という風潮が生まれてきているように思います。

「墓地は文化」のヨーロッパに見習う点

ヨーロッパには公園のような大きな霊園が存在していて、これらの管理が徹底されています。
期限付きの墓地となっていて、更新しなければ共同墓地に移され、そのシステムが遺骨の尊厳を守る形になっています。
また「墓地は文化」と誇りにしているので、重要な観光資源にもなり、墓地の管理者としての専門職が存在します。

これは日本の墓地経営者・管理者が、墓地改葬手続きの簡素化にのっとり、数年の管理費の滞納で墓地の承継契約を解除できることと比べると大きな違いであり、墓地管理者の義務をしっかり議論し明確化しなかった、「なあなあ」な文化が残した負の遺産と言えます。

長い文章になってしまいましたが、こういった時代背景をふまえて、この対談ページをお読みいただければと思います。

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