コラム

 公開日: 2015-09-11  最終更新日: 2015-09-12

お墓にあって行政運営の納骨堂にないもの。それは「偲ぶ場としての求引力」。

こんにちは☆
富山の墓石専門店㈱スナダ石材の墓石アドバイザー、砂田嘉寿子です。

できた時からずっと気になりながらも、まだ中の様子をしっかりと見た事がなかった「富山市納骨堂」を先日見学してきました。
こちらは富山市営、要するに行政が取り仕切る「納骨堂」です。
「納骨堂」と言うと、お墓を建てない方の他の選択肢という感覚をこれまで持っていましたが、お墓と納骨堂は「似て非なるもの」というのが、実際に見学しての率直な感想です。

では一体どこがどう違うのでしょうか。

納骨堂はあくまで「個人」を供養する。

富山市納骨堂の場合、使用形態が区分されていますが、代表的な流れを順に説明していきます。
まずは、
(1)6年間は一つのお骨に対して一つの参拝壇が使用でき、そこにお骨が入っているお骨壺を収蔵します。
木目調の扉が付いた上下2段のロッカーのような形態で、上の扉部分は仏壇のような金色の簡易的な祭壇になっていて、ここに仏具を設置したり、故人の遺影を置いたりと、6年間は自由に使っていいとのことです。

下段は二段に分かれていて、上の方は鍵付きの扉があり、そこにお骨壺を収蔵します。
鍵はセキュリティ上の問題から、管理事務所で管理しているので、勝手にそこの扉を開けることはできません。
下は、物置のためのスペースになっています。
           ↓↓
(1')6年経過後、間接参拝壇に移動となります。
お骨は、今度はコインロッカーのような小さな参拝壇に移動します。ここから合葬となり、参拝ホールでの参拝となります。
参拝ホールは、(1)の直接参拝壇の部屋に囲まれるカタチで中央に位置しています。
光の入る明るい空間で、壁側にガラスモニュメントがあり、その手前にお花などを供える供養台が用意されています。
ちなみに室内ということで、(1)の直接参拝壇も(1')の参拝ホールも、ロウソクやお線香など火を使う物の使用は禁じられています。
お骨の収蔵してある間接参拝室は、参拝ホールの壁を挟んで裏側にあるということですが、そこへの出入りはできません。
           ↓↓
(2)上の(1')から4年経過後、合葬式収蔵施設へ納骨します。
これは地下にあるのですが、ここに納骨されると永年収蔵となり、お骨を取りだすことは不可となります。
こちらへ納骨になった場合も、参拝の場は参拝ホールになります。

亡き人を直接偲ぶ場合、それは「6年間」だけとなり、6年後は永年、参拝ホールでの参拝になります。
価格は、火葬後すぐに合葬式収蔵施設(地下)に納骨となる場合が一番安くて、64,800円。
上記のように、(1)直接参拝壇から(1')間接参拝壇、(2)地下の合葬式収蔵施設へと段階的に納骨場所を移す場合は、この中では一番お高い、203,040円。
(1)から(2)、(1')から(2)へとすることも可能で、その場合の価格もそれぞれ設定されています。

お墓は「家族」を偲ぶ「約束の場」

先日、NHKの「72時間ドキュメント」で、関東最大級の霊園でお盆のお墓参りに来られた方達の様々なドラマが映し出されていました。

亡きご主人が倒れたのは愛人の家。それまでずっと家に帰ってこない夫に代わり、家庭と子供を育て上げた奥様。
お盆の日、そのご主人が眠るお墓には、孫を含めて総勢十名以上の家族がこの墓地に一斉に集まります。
お盆のお墓参りは、それぞれに家庭を持った家族が集合する「約束の場」となっていました。たとえ家庭を顧みなかった父親のお墓でも、それぞれの家族の結束は強いものがあったのでしょう。
ほぼ女手一人で子供を育て上げた母の掛け声で、墓地に集まり、そしてまた手を振る家族達。

また大切なご主人を亡くされて一人残った奥様。
何とか悲しみを乗り越えたけれども、ご主人の思い出話をしながら涙がつたいます。
「私が死んだら、主人のお骨と自分のお骨を一つの骨壺に混ぜて一体となるの。それが私の望み…」
カメラが去った後もずっとお墓を前に、ご主人と会話をされていました。

納骨堂では直接参拝の年数は限られていて、故人との会話、そして家族達が集まる場として、合同の参拝ホールにお墓のような濃密さを求めることは不可能であるように思います。
「場」があることで「人」は「集う」という側面があり、それは現代の気忙しい家族であればこそ、お墓というのはそこで重要な役割を果たしているように思いました。

お墓はお参りする「場」、納骨堂は「お骨」を収蔵する場所

「墓を守る人がいなくなる」
おひとり様やお子様がいない方など、将来的に墓を守っていく家族がいなくなる場合には、こういう行政の納骨堂のシステムは何の不備もなく、また価格面でも安心できるものとなっています。

ただ中には、お墓を建てるまで、墓地が見つかるまでの一時的な納骨場所として使用している方もいらっしゃるようです。
まだお墓を持っていない方がお墓が建てられない場合の最終手段として、納骨堂を考えているということもあるようです。

お墓、そして墓石というのは、昔の人が信仰心をカタチに表すために彫った仏像のような特性があるのではないでしょうか。
祈りをカタチにしていく作業が、「お墓を作る」「お墓を建てる」ということに繋がるのですが、納骨堂は作られた目的が「お骨を収蔵する場所」となっています。
この富山市の納骨堂も、「富山市の人口100年分を網羅する」という目的に沿っていて、そこにお墓が持つ「慰霊の場」という部分はあまり重要視されていませんでした。

納骨堂とお墓の違い

そんなことを考えていたら、ちょうど日本石材工業新聞にも同じような内容の記事が載っていました。
見学をし終わって感じた「ここは『場所』ではあるけれど、『場』ではない」という感覚。
このように感じているのは、私だけではないようです。

◇1956年創業、1500件以上の建立実績
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  http://www.e-isiyasan.com/

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石職人 砂田嘉寿子

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TEL:076-427-1160

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