コラム

 公開日: 2016-01-08 

お墓が二つある!? 両墓制の謎にせまる! ~読書備忘録~

こんにちは☆
富山の墓石専門店㈱スナダ石材のメモリアルアドバイザー、砂田嘉寿子です。

いまさらですが、我々は業種で言うと「石材店」や「石屋さん」ですが、一般のお客様から必ずしもそう呼ばれるとは限らず、たまに「お墓屋さん」と言われるときがあります。
そう呼ばれると何となくおかしな気持ちがしたものですが、石でないお墓も実はあるんですよね~。

「お墓屋さん」と呼んでくださる方にお応えする意味でも、石でないお墓をご紹介したいと思います。

日本列島に分布する「両墓制」

四国新聞より 埋め墓
これは四国のある島にある墓で、「埋め墓」といわれる遺体が埋葬(土葬)してあるお墓です。
まるで小屋のようなお墓ですが、実際に竹などを使い、石を使わないこのようなお墓がある地域があります。

遺体がそこに眠るのなら、そこに手を合わせるのが普通と考えるでしょうが、実はこの地域には手を合わせる「詣り墓」が別の墓地にちゃんと存在しているのです。
そしてそこにある墓は、石のお墓、墓石になっています。

このように、「埋葬する墓」と「霊魂を祭る墓」を分けてあるものを「両墓制」というのですが、日本全体でみると両墓制の方が少なく、埋葬地と霊魂を祭る場所を同一地に設けた墓地の方がはるかに多いです。
富山も後者で、これは「単墓制」ともいわれます。

両墓制はいつ頃から始まり、なぜ全国に広まらなかったのか?

両墓制がみられる代表的な地域は、近畿地方で、九州・東北地方にはほとんどみられません。その中間の中部・関東地方および中国・四国地方の一部にもみられます。

はじめて学ぶ民俗学より
両墓制の分布地域は偏っていて、このようなお墓があることを知らない人は全国にもたくさんいます。私もその一人でした。
たとえば、西側と東側で風習が違うという話はよくありますが、西側でも九州にはほぼ見られず、中部でも北陸などの日本海側などでは見られません。

色々調べて分かったことは、「墓地を定めよ」と記した大化の改新の時代の「薄葬の令」あたりから、天皇・貴族階級に「穢れ ケガレ」の思想が広まり、平安時代には「詣り墓」なるものが建てられたことが分かっています。
あの藤原氏も、遺体の埋葬と霊の供養を「別の時と場所」で行ったとされています。

平安時代といえば、仏教が上層階級で広まる時代ですが、ちょうどその頃は天台宗と真言宗が「祖先祭祀」を強調して布教していたこともあり、両墓制はこの両宗とともに伝播したと考えられます。(和歌森太郎)

そういえば和歌山出身の富山テレビ局の方に取材を受けたときも、「家の墓には遺骨がなく、本山(真言宗高野山)にお骨が納骨してあるので、逆に富山の墓の大きさにびっくりした」と言われていました。

①ケガレ⇒②宗教、とともに広まった両墓制ということですが、なぜ全国津々浦々に行きわたらなかったの不思議ではありませんか。

それはおそらく、
「言語・服装・道具など他者と交流し外形を整えるための習俗は、新らしい風習や表現をとりいれやすく、伝播によって変化しやすい。
しかしながら、隣接社会の習俗であっても、社会組織や信仰の内容にかかわる習慣.行動、すなわち族制、祖霊信仰、価値観などは、もっとも変化しがたい。葬制・墓制はこれに属する」(宮本常一)
とあるように、ある時代に戦乱や経済的理由で移動した人々が、新たな地で自分たちの信仰、そして墓制を行うようになり、時代とともに新しい「単墓制」が導入され、各地で両墓制が点在する今のカタチになったのかもしれません。

お墓はメディアそのもの


各地に残る両墓制ですが、時代とともに純粋な両墓制が残る地域は少なくなっています。その地域の昔ながらの風景や、その葬送のあり方が世代交代とともに薄れていくのは、「お墓そのものがメディア」であることの証と言えそうです。

お墓は、民俗学にとっても第一級の資料になっています。
「お墓をどのように見て考えるか」という点では、たしかにメディアそのものであり、信仰や供養がどのように変わり、変わらないのかを考える上で重要な役割を担っているともいえますね。

【参考図書・資料】
「はじめて学ぶ民俗学」
「両墓制の時空間的展開」

◇1956年創業、1500件以上の建立実績
  └ご家族の想いをカタチにする墓石専門店
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石職人 砂田嘉寿子

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TEL:076-427-1160

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