コラム

 公開日: 2016-10-17  最終更新日: 2016-10-27

墓じまいを科学的視点から考えてみた


先だってノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジーの研究」について、さかんにテレビで繰り返されていた言葉が「細胞はスクラップアンドビルドを繰り返している」でした。

私たちが生きている間も細胞は生まれ変わるということは何となく聞き覚えがありましたが、破壊して立て直す「スクラップアンドビルド」という表現にピクリと反応してしまいました。
それは私たちが依頼を受けて行う「墓じまい」は、「スクラップアンドビルド」そのものであるからです。

細胞とお墓のスクラップアンドビルドの違い

お墓だけでなく老朽化した遺構についても「壊すのか残すのか」という議論は同様で、いろんな場面ででてきています。
守るのか。手放すのか。

細胞の場合であれば、一定の役割を終えて不要になったものは分解される必要があります。また働くことができない役に立たない細胞も害を及ぼすために分解されなくてはいけません。(参照:分子科学研究所プレスリリース)

お墓や建築物であれば、「老朽化し守る人がいない」ことが解体することを考える第一歩になります。また守る人がいないわけではないけれど、お墓や建築物が持っていた使用目的が失われることもあります。
文化財の建築物などは、そこにまつわる文化や歴史が共有できなくなることで、経済的にも保持し維持していくことが難しくなります。

お墓もこのような文化財と流れが似ていて、土地を離れたことで、その地に根付いていた物語を他の家族と共有できなかったり、共有していた想い出を持つ人がこの世にいなくなることが「終う」ことにつながります。

壊すだけでなく、次なる仕舞い先が必要

スクラップアンドビルドというのは、壊しても必ずその代わりになるものを必要とします。
建築物ならば、他の建物で代替えしたり新しく建てたり。細胞ならばリサイクルされます。

お墓の場合は実は選択肢はそれなりにあり、その家族形態によってさまざまです。
お墓を一つにまとめたり、新しく建て替えたり、納骨堂や永代供養墓に替わったりと、そのライフスタイルによって次の場所は変わっていきます。

なぜ今墓じまいなのか

お墓を終うことについて考える人や考えなければいけない人が増えてきたようにみえるのは、役割を終えて新しい価値、機能について考えだしている人が増えてきた証かもしれません。

細胞は私たちの預かり知らないところで勝手に、ただし見事にスクラップアンドビルドが行われています。
しかしお墓の場合は、「残すのか守るのか」「使用目的は失われたのか」については、そのお墓に関係する人やお墓に眠る人に関わる人がいる限りは、細胞のように知らないうちに行われることがあってはいけないため、そこに至るまでにはそれなりの時間を要しているという実感があります。

オートファジー研究のノーベル賞受賞は私の仕事には何も関係なく、何の影響もないのですが(笑)、細胞も私たちの文化も同じようにスクラップアンドビルドを繰り返してきたのかもしれないと想像を馳せると、また違った景色が見えるかもしれません。

では最後にノーベル賞つながりで、ノーベル文学賞に選ばれたボブ・ディランのこの曲を。

「Like a Rolling Stone」
この曲のサビの部分の歌詞にこうあります。
 「どう感じる?
 どう感じる?
  家がないっていうのは
 完全に無名っていうのは
 転がる石のように」


お墓という最期の家がなくなることについて、そこに眠っている人にこう聞くことはできません。
その答えは、きっと風の中に。

◇1956年創業 「お墓のまもりびと」をサポートする墓石専門店
http://www.mamoribito-toyama.com/

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