コラム

2011-11-16

塾長つれづれ日記 △▼△ 新指導要領 中学数学編 △▼△

11月16日 水曜日



新指導要領について述べる数学編です。

まずは、以下の数字から。

年間授業数においては、
中1は 105→140(週3→週4)、中2は 105→105(週3→週3)、中3は 105→140(週3→週4)
という具合に、1年生と3年生で(33%)増加しています。

しかし教科書のページ数で見ると、
中1では 212→327(54%増)、中2では 210→265(26%増)、中3では 210→325(55%増)となっています。
これは、現在富山市で使われている東京書籍の教科書と、
次年度使われることになる予定の大日本書籍の教科書のページ数の比較です。
なんと、中1では1.54倍(54%増)となっています。

また、取り上げられている問題数においては、
今度は同じ東京書籍版で較べると、
中1では 838→1341(60%増)、中2では 485→675(39%増)、中3では 757→1176(55%増)
となっています。

中1を例に取りまとめますと、
授業時数の増加は 33%増 、教科書ページ数の増加は 54%増 、問題数の増加は 60%増、となり、
今回の指導要領の改定の意図がここにあります。

つまり、授業時数の増加の割合以上に、教科書のページが増加し、
取り上げている問題数が増加していると言う事実です。

このことの意味を説明する前に、まずはどのような内容が今回の改訂で増えたかを見てみようと思います。

単純に見ると、今回の改訂では、前回の改訂のときに高校に移されたものが戻ってきました。
中1においては「不等式」「球の表面積・体積」「統計の用語」「誤差・近似値」、
中2では「確率」、
中3では発展的扱いだった「解の公式」「相似における、体積・面積比」「標本調査の進め方」などです。

数学を指導する者とって、これらの単元は、ある意味中学ですべきことと思われますので、
まったく違和感はありません。
逆に「何でこれまで高校領域にあったの?」と思わせられます。

しかし、この程度の内容の増加で、何故、教科書のページ数や問題数を 50%以上も増加するのでしょうか?。
いや増加させなければならないのでしょうか?。

ここを見ることで、今回の指導要領の改定の意図が見えてきます。

OECDによる生徒の学習到達度調査であるPISA(ピサ)の結果、いいわゆるPISAショックをご存知でしょうか。
  (この稿でそれに触れることはしませんが、もし、ご存じない方がおられましたら、
     是非、「ウィキペディア」等で、お調べいただけたらと思います。)

その世界標準のテストにおいて、
たとえば、数学的活用能力を見るテストで、日本は2002年1位だったものが2006年には10位になり、
国語の読解力においても大きく後退しました。

そのころ、ゆとり教育の弊害として一部でささやかれていた大学生の学力低下を、
現実のものとして受け止めざるを得なくなったわけです。
そこで、通例10年毎の指導要領の改定を前倒しをしてでも実施せざるを得なくなりました。

今回の改定はその流れのなかにあります。

これまで同様、理数系科目を強化し、より強い科学立国としての日本を目指しているわけです。

そのためには(新指導要領から抜粋するなら)、
『基礎的な知識と技能を習得させ、
これらを活用して問題を解決させる「思考力」「判断力」「表現力」という能力を育み、
主体的に努力し学習に取り組む態度を養うこと』が重要となったわけです。

その趣旨に従い、どの教科書でも幅広い難易度の問題が含まれ、演習量が増加しました。
さらには、習得を効果的させるためにも、難易度を少しずつ上げながら練習させ、
スパイラル的にレベルアップさせて、さらには活用力を身につけさせようと意図されています。

小学校・中学校・高校という一連の流れの中で、
計算力をつけさせ、応用力を育て、最終的には実社会において真に生かすことが出来る
「数学的思考力」を育てようとしているわけです。

ついには、教科書は、「教える」道具から、それらを含みつつも、自ら学ぶことができる、
まるで参考書のような、練習・訓練ができる「学ぶ」教科書へと変貌したともいえるのではないのでしょうか。



私は、塾を主宰する者として、このような流れを大いに歓迎しています。
それでこそ、真に自立し、自ら切り開いていくことが出来る子供たちを育成できると思うからです。

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